不適切問題か?真の解答を探る。平成30年保育士試験を受けてきた。

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平成30年の保育士試験(前期)を受験してきました。早速、大手の資格スクールが発表する解答速報を参考に自己採点しました。苦手科目の「社会福祉」はあと1問だけ及ばずに不合格。絶望していたところ、不適切問題疑惑が浮上しました。私の場合、この1問の取り扱いによって筆記試験全体の合否が左右されます。

保育士試験【筆記】自己採点の結果

保育士試験の科目は全部で9科目あります。

私の場合、昨年(平成29)の秋に初めて保育士試験を受験した際に6科目を合格しました。ほとんど勉強しないで6科目を合格した奇跡については、コチラの記事をどうぞ。

今回の平成30年の前期試験は私にとって2回目の筆記試験です。受験したのは前回の受験で不合格だった「児童家庭福祉」「社会福祉」「子供の食と栄養」の3科目です。

科目数は少ないですが、日程が1日目と2日目に分かれていました。

  • 1日目:「児童家庭福祉」、「社会福祉」
  • 2日目:「子供の食と栄養」

1日目の2科目の時間帯が連続していたのが、せめてもの救いです。1日目の試験後は自宅に直行し、資格スクールが試験当日に発表する解答速報を利用して自己採点しました。

解答速報を即日で発表している資格スクールには次の3社があります。

  • ユーキャン
  • キャリア・ステーション
  • ライセンス学院

私は、ひとまず「キャリア・ステーション」の解答速報を利用して自己採点しました。

保育士試験【筆記】は全てマーク式の回答です。設問は全部で20問あり、各問の点数が5点。

各科目とも100点満点のうち60点以上で合格となります。自己採点結果は、

児童家庭福祉:85点
社会福祉:55点

チーーーーーーン。

社会福祉の合格に1問足らず、合格ラインの60点に及びませんでした。

翌日に「子供の食と栄養」の試験を控えていましたが、不合格の結果に落胆し勉強する気が全くおきません。

ただ、気になることがありました。

「社会福祉」の問3の問題について、キャリア・ステーション、ライセンス学院は解答番号を「2」としているのに対して、ユーキャンの解答速報だけは解答を「審議中」としてあったのです。

審議中ですと?

私はこの問3では解答番号「3」を選択しました。キャリア・ステーションやライセンス学院は解答を「2」としているけれど、ユーキャンが審議中ということは、問3について万が一があるかも。

不合格の結果に落ち込みつつも、胸にはかすかな期待。試験1日目は複雑な心境で就寝しました。

本来であれば、翌日の試験問題の勉強をすべきなんですがね(汗)

保育士試験【筆記】はマーク式なので、直前の詰め込みがかなり効果を発揮します。読者の皆さんには、1日目の自己採点は2日目が終了してからすることをお勧めします!

各社の保育士試験解答速報の結果に動きが

翌日の試験2日目。再びユーキャンの解答速報をのぞきました。すると、次の一文が目に飛び込んできました。

「社会福祉」問3について 検討の結果、弊社は「解なし」といたします。
(ユーキャンの平成30年度(前期)試験解答速報<平成30年4月23日12:00時点>より)

ここで、さらに追い風が。キャリア・ステーションは問3の解答を「2または3」の複数解答へと変更しました。

ライセンス学院にいたっては問3の解答を「2」から「3」に変更したのです(ともに、平成30年4月23日12:00時点)。

資格スクールによって、解答が異なる。こんなことってあるのだなぁと驚きました。

過去にもあった保育士試験【筆記】の不適切問題

調べてみると、過去の保育士試験において、受験者全員が正解となったケースがいくつかありました。

例えば、平成24年保育士試験筆記試験では、次の2つの設問が受験者全員となっています。

発達心理学 問4:選択肢Dに明確さを欠いた表現があるため、受験者全員を正解とします。
小児保健 問18:選択肢の中に正答が複数存在することから、受験者全員を正解とします。

保育士試験のような国家試験は、最新の注意を払って問題が作成されているはずです。しかし、やはり人間の手によって作られているので、受験者全員が正解となるような設問が出てきます。

「社会福祉」問3を自分なりに検討

私の運命を決めるといっても過言ではない「社会福祉」の問3。焦点となっているのは、設問中の次の2つの選択肢です。

【選択肢B】
親子間の情緒的関与が過度に不足することにより子供に重大な発達障害を与えることを防ぐため、「刑法」が「保護責任者遺棄罪」という罰則規定を設けている。

【選択肢C】
親が子供を学校に通わせないなど、児童の教育を受ける権利が侵害された場合、「学校教育法」において児童のその権利を擁護する規定が設けられている。

この2つの選択肢の記述が適切なのか、不適切なのか?

「社会福祉」問3の選択肢Bの正誤

選択肢Bについて、ユーキャンは次のような見解を発表しています。

選択肢B:「刑法」第218条では、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する」と保護責任者遺棄等を規定しています。しかしながら、選択肢Bの文章では、この状況を明確に「遺棄」と判断できかねます。
(ユーキャンの平成30年度(前期)試験解答速報<平成30年4月23日12:00時点>より)

私は、試験問題作成者の意図を考えると、この設問ではネグレクト(育児放棄)を防止する法的根拠が問われていると思うのです。選択肢Bの「親子間の情緒的関与が過度に不足することにより子供に重大な発達障害を与えることを防ぐため」の根拠法としては、刑法よりも児童虐待防止法が適切です。

特に、「親子間の情緒的関与が過度に不足」というのは、児童虐待のなかでも特に件数が増えているネグレクトが念頭にあると思うのです。

加えて、選択肢の文中にある「防ぐために」という文言からも児童虐待防止法の匂いがプンプンしてきます

というわけで、刑法を根拠法としているBの記述は不適切というのが、私の意見です。

「社会福祉」問3の選択肢Cの正誤

次は選択肢Cです。まずは、資格スクールのユーキャンの見解です。

選択肢C:「児童の教育を受ける権利を擁護する」規定は、「学校教育法」には明文化されていません。しかし、第16、17条に規定される、「保護者は、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う」ことを選択肢Cの「児童の教育を受ける権利」と拡大解釈させるのであれば、Cを○とすることができるのかもしれません。ただ、義務教育のみをとりあげて、「児童の教育を受ける権利の擁護」と断言することはできないと考えます。(ユーキャンの平成30年度(前期)試験解答速報<平成30年4月23日12:00時点>より)

ユーキャンは「義務教育のみをとりあげて、「児童の教育を受ける権利の擁護」と断言することはできない」としています。

私は、選択肢Cについては文頭にある「親が子供を学校に通わせないなど」というのがポイントだと考えます。この選択肢においては、学校における教育を受ける権利を想定してよいはずです。

大前提として、日本国憲法26条に「教育を受ける権利」「教育を受けさせる義務」について述べられています。


第26条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

憲法では、「教育を受ける権利」を保障するために、「教育を受けさせる義務」について明示していると考えることができます。そして、憲法での「教育を受けさせる義務」を学校教育において具体的に明示したのが、学校教育法第16条、17条に規定される、保護者の「普通教育を受けさせる義務」です。

以上をまとめると、

【考え方】

憲法では、「教育を受ける権利」を保障するための「教育を受けさせる義務」の記載がある

憲法の規定を学校教育において具体化したのが学校教育法の「普通教育を受けさせる義務」

学校教育における「教育を受ける権利」を保障(≒擁護)するための規定が学校教育法16、17条の「教育を受けさせる義務」

「学校教育法」において児童の教育を受ける権利を擁護する規定が設けられていると言える

というわけで、Cの記述は適切というのが、私の意見です。

つまり、選択肢Bは×で、選択肢Cは◯です。この場合、この設問の正答は試験で私が選んだ「3」ということになります。

(実際の試験では、ここまで深く考えていませんでした。単純に選択肢B記載の「情緒的関与の不足」と「保護位責任者遺棄罪」が馴染まない、という感覚的な判断で選択肢をえらびました)

保育士試験委員会の対応に注目

平成30年保育士試験 受験申請の手引き[前期用]によれば、筆記試験の正答は、6月4日(月)にホームページに掲載される予定です。

「社会福祉」の問3については、自分なりに改めて復習してみて、自分が選択した「3(選択肢Bは×で、選択肢Cは◯)」に自信が出てきました。とはいえ、この設問については大手資格スクールの間でも見解が分かれていることを考えると、国家資格試験という性格上、この「社会福祉」の問3は受験者全員が正解となると私は予想しています。

そうなると、私の社会福祉の自己採点結果は55点から60点へアップ。まさに地獄から天国へ。試験2日目に受験した「子供の食と栄養」も自己採点の結果は80点と合格が予想されます。

<自己採点結果>

日程

科目

自己採点結果

1日目(4月21日)児童家庭福祉

85

社会福祉

55→60?

2日目(4月22日)子供の食と栄養

80

筆記試験の受験にあたっては、いちばんわかりやすい保育士合格テキスト ’18年版というテキストの[上巻]と[下巻] だけで勉強しました。

6月初旬に送付されてくる筆記試験の結果を待たず、5月に入ったら実技試験の準備を始める予定です。

それにしても。試験1日目で「落ちたー」と絶望したあの気持ちから一転。「受かったかも」という予感。試験って、何があるか本当にわからないですね。

読者様からの情報、他にも不適切疑惑が!

この記事を読んでくださった読者の方から、「子どもの食と栄養」の問題でも資格スクール各社で見解が分かれている設問がありすよ、という情報をいただきました。

まずは、読者の方からのメールをご紹介。文部科学省や厚生労働省のサイト上の資料も引用した説得力ある内容なので、個人情報が特定されないように編集して全文を紹介させていただきます。

こんばんは。突然すみません。初めてコメントします。
色々調べていたら、こちらのサイトに辿り着きました。

社会福祉問3気になりますよね。
あと子どもの食と栄養の問20が私は5を選んだのですが、2社の答えが1でした。その1問で合格か否かなので、自分なりに調べてキャリアステーションにもメールで質問したのですが、まだ返信はありません。
以下私の見解です。

社会福祉 問3

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06070415/003.htm
○学校教育法(抄)

第22条
保護者(子女に対して親権を行う者、親権を行う者のないときは、未成年後見人をいう。以下同じ。)は、子女の満6才に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子女が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間において当該教育を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。

2  前項の義務履行の督促その他義務に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

↑義務の履行の督促が出来るので、児童は擁護されていると考えられる。のでCは○。

発達障害は遺伝・先天性、生まれつきの特徴なので、情緒的な関与不足により発症することはない。なので、Bは×。よって答えは3なのかなぁと思いました。

~子どもの食と栄養の問20に関して~

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/05-01g.pdf
(著者校正中の組版⑨ 食べる力を育む 執筆者:髙橋摩理より)

165ページ図7の姿勢を見ると、ほぼ健常者と同じ姿勢=座位に見えます。 ここでは姿勢を聞いているから〇。

3.1-3 食具、食器の選択
スプーンのボール部が浅く平らなほうが捕食を行いやすい。
自食の場合、食器にも注意が必要である。浅い皿や茶碗など緩やかにカーブしているものはすくいにくいので、縁が立ち上がっているものを利用する

とあるので答えは5ではないかな?と思いました。

社会福祉問3 全員正解になるといいですよね。

長々と失礼しました。
合格をお祈りしています。

コメント、誠にありがとうございます。

本当ですね。「子どもの食と栄養」の問20に関して、キャリア・ステーションとユーキャンは正答を「選択肢1」としているのに対し、ライセンス学院は正答を「選択肢5」としています。

私なりに考えたところ、
選択肢1:いくら軽度とはいえ、摂食・嚥下障害児を安易に「ほぼ健常者と同じ」と考えるのは危険。よって選択肢1は不適切な記述といえる。
選択肢5:手持ちの参考書には、「食事の介助で配慮する内容」という項目に、「深さがあり内側に傾斜した皿」という記載がある。よって、選択肢5の「浅めの皿」は不適切な記述といえる。
ただし、選択肢5に関して気になるのは、設問には「食事指導」とあって、「食事の介助」ではないのです。でも、指導にしろ、介助にしろ、普通に考えて「浅めの皿」は使いにくいと思うのですが。
「子どもの食と栄養」の問20は、1も5も正答となる(したがって受験者全員が正解?)のではないかなぁ、という気がしております。
果たして、保育士試験委員会は「子どもの食と栄養」の問20にどのような対応をするのか。公式の解答が出されるのを待ちたいと思います。
私や、コメントを下さった読者の方のように、不適切問題の取り扱い次第で合否が左右される受験者の皆様。備えあれば憂いなし。結果を待たずに、実技の準備を開始しましょう。私も、ボチボチ動き出しています。

【追記】筆記試験の正答が公式発表されました

2018年6月4日(月)に、平成30年筆記試験(前期)問題の正答が発表されました。
<公式発表された正当>

設問

正当

社会福祉 問3

3

子どもの食と栄養 問20

5

という発表で、不適切問題という扱いではなかった、という結果でした。

上記の2問については、資格スクールの解答予想で見解が分かれていました。特に、社会福祉の問3については、BuzzFeed ニュースでも、「正解がないのでは?」という記事で取り上げられており、注目度が高かったです。

私も、国家資格という性質上、この2問については「全員が正解」となると予想していたのですが、予想に反して、公式発表では上記の2問とも解答は1つだけでしたね。

受験された皆様、お疲れ様でした!

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